2025.12.09
EIP-7917 と Pre-Confirmation の関係
こんにちは。次世代システム研究室のT.M です。
はじめに
先日、Ethereum において Fusaka アップグレードが行われました。このアップグレードには複数の EIP が含まれており、その中でも EIP-7917 は将来の仕様拡張と関連が深い提案として注目されています。特に、近年議論されている Pre-Confirmation の実現に向けて重要な要素の一つとされており、その内容を確認するため本稿では Fusaka アップグレードの概要に触れつつ、EIP-7917 と Pre-Confirmation について整理します。
Fusaka アップグレードとは
Fusaka アップグレードは、2025 年 12 月に実施された Ethereum の大型アップグレードであり、複数の仕様変更が導入されました。主な内容としては、データ可用性を改善する PeerDAS(EIP-7594)や、ブロック提案者の先読みを可能にする EIP-7917 などが含まれています。これらはネットワークの安定性やスケーラビリティの向上を目的としたものであり、Ethereum の中長期的な技術ロードマップの一部を形成します。
EIP-7917 とは
EIP-7917 は、次の epoch におけるブロック proposer を早期に決定するための仕組みを導入する提案です。従来、proposer の決定は epoch 境界で行われていましたが、この提案により、より早い段階で proposer のリストを確定できるようになります。
この仕組みによって、クライアントは proposer の選出結果を前もって把握し、関連処理を効率化できるようになります。EIP-7917 の役割は、あくまで proposer 選出のタイミングと計算方法を変更することにあり、ブロック生成そのものの流れやトランザクション処理のロジックを直接変更するものではありません。
Pre-Confirmation とは
Pre-Confirmation は、将来的に取引をほぼ即時に取り扱うことを可能にするための概念であり、特定のスロットでトランザクションを確実に取り込むことを事前に約束する仕組みを指します。この仕組みを実現するためには、将来の proposer が誰になるかを事前に把握できることが必要になります。
EIP-7917 による proposer の先読みは、この前提条件を満たすための要素の一つです。ただし、Pre-Confirmation を完全に実現するためには、合意層の変更や専用の署名方式、バリデータのスラッシュ条件の追加など、他にも複数の仕様変更が必要になります。
まとめ
Fusaka アップグレードには複数の重要な EIP が含まれており、その一つである EIP-7917 は proposer を早期に決定する仕組みを導入しました。これは Pre-Confirmation の前提条件の一つを満たすものでありますが、Pre-Confirmation 自体が Fusaka で導入されたわけではありません。今後、必要な追加仕様が議論されることで、将来的に即時性の高いトランザクション処理が実現される可能性があります。
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